インディアンスのトレバー・バウアーが、アストロズの投手が松ヤニを使っているのではないかと示唆して騒動となっています。
まず、Drivelineというトレーニング施設の創設者カイル・ボディに対し、あるファンが「バーランダー、コール、モートンはアストロズに入ってからスピンレートが上昇している。ボールに何か細工をしているのではないか?」とツイート。それをボディが引用リツイートで「奇妙な偶然だ」と取り上げました。
@drivelinebases Are Astros doctoring baseball or throwing spit balls. look at spin rates of verlander, cole and morton, inreased dramatically pitching in Astros uniform. they probably using a substance or like chewing gum like morton did like post season
— Blaze455 (@Blaze4551) 2018年5月1日
Chewing gum? Also spit balls would reduce spin theoretically. Anyway, what a weird coincidence you have discovered. 🤔 https://t.co/t7noehg4ui
— Kyle Boddy (@drivelinebases) 2018年5月1日
これに対し、以前からDrivelineでトレーニングをしているトレバー・バウアーが、大量の考える人の顔文字と、「もし一夜にしてスピンレートを数百rpm上昇させることができる方法を知っているなら、トレードで掘り出し物を獲得できるな。もしそんな方法があるのなら、だが…」と返信しました。
If only there was just a really quick way to increase spin rate. Like what if you could trade for a player knowing that you could bump his spin rate a couple hundred rpm overnight...imagine the steals you could get on the trade market! If only that existed...
— Trevor Bauer (@BauerOutage) 2018年5月1日
その後、バウアーは「テストでは松ヤニを使えばスピンレートが平均で約350rpm上昇すると出ている。そのテストでは球速は70マイルぐらいだった。球速が上がれば上昇幅は小さくなるが、約90マイルの球速でも200rpmから300rpmは上昇する」と、松ヤニを使えばスピンレートを上げることができるとツイート。
Spin rate increases about 350 rpm on average in our tests when using pine tar vs no pine tar. That was at 70ish mph. The effect is slightly less pronounced at higher mph, but still between 2 and 3 hundreds rpm increase at about 90mph
— Trevor Bauer (@BauerOutage) 2018年5月1日
アストロズのランス・マッカラーズJr.からは「嫉妬はかっこ悪いよ。君は素晴らしいボールを投げるし懸命に取り組んできたんだから、こんなことをする必要はない」と諫められました。
Jealousy isn’t a good look on you my man. You have great stuff and have worked hard for it, like the rest of us, no need for this. I will ask though because my spin rate and spin axis on my 4 seem is a$$. https://t.co/jvbLuWWqgN
— Lance McCullers Jr. (@LMcCullers43) 2018年5月1日
バウアーは「嫉妬ではないよ。約束する。アストロズがやっていることはリスペクトしている。不満なのは、MLBが恣意的にルールを強要する偽善に対してだ」と返事。
Not jealous my friend. Promise you that. I respect what you all are doing over there. My gripe is with the hypocrisy of @mlb for selectively enforcing rules when it suits them
— Trevor Bauer (@BauerOutage) 2018年5月1日
ツイッター上ではなにかとお騒がせのアレックス・ブレグマンは、バウアーのことをタイラーとわざと名前を間違えてからかうツイート。これに乗ったバウアーは、ツイッターの名前をTyler Bauerに変えていました(現在はTrevor Bauerに戻っています)。
Relax Tyler ... those World Series balls spin a little different.... 😭 https://t.co/MZ7iIPXhbC
— Alex Bregman (@ABREG_1) 2018年5月1日
コリン・マクヒューは「これが長く野球に携わっている人たちによる指導というものだ」と反論。
If only there was this thing where people who had been around baseball a long time taught people who hadn’t been around as long. Imagine the possiblity for improvement yr over yr! We could call it coaching! https://t.co/WI4X1TCbaW
— Collin McHugh (@Collin_McHugh) 2018年5月1日
バウアーがMLBに対し偽善だと言っているのは、ドローンで小指を切った時に、小指の外側の縫合した箇所を補強する接着剤を使わせてもらえなかったことが原因のようです。バウアーは、2016年のALCS第3戦で、傷口からの出血がひどくなり1回途中で降板しました。
べたべたした物質でなく、ボールにつく可能性もない場所の接着剤を使わせない一方で、松ヤニなどの物質を使うことに目をつぶっているのはこれ以上ないほどの偽善だ、としています。
Just pick one But to not let me use non sticky surgical grade glue to reinforce the stitches on the back side of my pinky finger that has no chance to touch the ball while simultaneously allowing people to blatantly use sticky stuff is hypocritical to the max
— Trevor Bauer (@BauerOutage) 2018年5月1日
他にもバウアーは、「アストロズが不正をしているとは言っていない。自分の唯一の主張は、粘着性の物質を手に付ければ速球のスピンレートは上がるということだ」と言っています。たしかにアストロズが不正をしているとはっきりとは言っていませんが、上に挙げたツイートを見ると、間接的にアストロズの不正を告発していると取られても仕方ない気はします。
I never said Astros are cheating. My only claim is that using sticky stuff on your hand increases the rpm on fastballs. Which is blatantly true.
— Trevor Bauer (@BauerOutage) 2018年5月1日
実際にアストロズが不正を行っているかについてですが、The Athleticのエノ・サリス氏の検証によると、それを示すデータは見つからないということです。
アストロズの投手の移籍前と後のスピンレートを比較すると、はっきりとした変化が見られたのはゲリット・コールだけだったとのこと。チャーリー・モートンもスピンレートが上昇していますが、フィリーズの時から上昇が始まっていました。
コールのスピンレート上昇についてサリス氏は、フォーシームのスピンレートが大幅に上昇しているというよりも、スピンレートの低いツーシームの投球数が少なくなっていて、フォーシームだと間違って分類されるツーシームの数が減ったことが、今年のフォーシームのスピンレートが高く出ている原因ではないかとしています。
is this possible evidence you’re correct? he’s not necessarily throwing a ton higher spin, but fewer low-spin, possibly two-seamers? pic.twitter.com/Vwqy70KhRv
— Eno Sarris (@enosarris) 2018年5月2日
interesting, further evidence that nothing too weird is going on in Houston: Cole’s higher 4s spin rate this year is more due to the abets of low ones (fewer misclassified sinkers?) and not due to a ton more high-spin 4s. https://t.co/t2QyeWZfGv
— Eno Sarris (@enosarris) 2018年5月2日
これについては、アストロズ移籍後のコールの投球内容を分析した記事でも少し触れられていました。
関連記事:もう1人のエース誕生!? コールの好投の要因は変化球の増加とフォーシームの質の改善
本来松ヤニなどの異物を使うことは認められていないにもかかわらず、テレビにはっきりと捉えられるなどしない限りは暗黙の了解でおとがめなしという現状に、バウアーが不満を持っているのは理解できます。
そもそもボールが滑るから松ヤニとか唾をつけたりしないといけないわけで、滑りにくい日本のボールを使ってくれれば解決するのにと思ってしまいます。
ボールが滑らなければ、ちょっとぐらいなら異物をつけても問題なしという暗黙の了解そのものが必要ないですし、毎日新品のボールを箱から出して泥でこねているのも時間と労力の無駄です。
試合中に投手が新しいボールをもらうたびに、いちいちグラブを外して唾をつけてボールをこねるのも時間の無駄です。その時間がなくなれば、マンフレッド・コミッショナーが躍起になっている試合時間・投球間隔の短縮にもつながるはずです。
ボールが滑りやすいから強く握らなければならず、腕への負担も大きくなり、トミー・ジョン手術が多い一因にもなっていると思います。
このようにメリットがたくさんあるはずので、なんとか日本のような滑らないボールに変更してくれないかなとずっと思っています。なかなかすぐにというわけにはいかないんでしょうが。
話はそれましたが、アストロズが不正をしているという証拠はないですし、そんなことを言いたくなるぐらいモートン、バーランダー、コールと昨年からのアストロズの投手補強が成功している証拠かなと感じました。