36058076013_e518640d69_z

インディアンスのトレバー・バウアーが、アストロズの投手が松ヤニを使っているのではないかと示唆して騒動となっています。

まず、Drivelineというトレーニング施設の創設者カイル・ボディに対し、あるファンが「バーランダー、コール、モートンはアストロズに入ってからスピンレートが上昇している。ボールに何か細工をしているのではないか?」とツイート。それをボディが引用リツイートで「奇妙な偶然だ」と取り上げました。

これに対し、以前からDrivelineでトレーニングをしているトレバー・バウアーが、大量の考える人の顔文字と、「もし一夜にしてスピンレートを数百rpm上昇させることができる方法を知っているなら、トレードで掘り出し物を獲得できるな。もしそんな方法があるのなら、だが…」と返信しました。

その後、バウアーは「テストでは松ヤニを使えばスピンレートが平均で約350rpm上昇すると出ている。そのテストでは球速は70マイルぐらいだった。球速が上がれば上昇幅は小さくなるが、約90マイルの球速でも200rpmから300rpmは上昇する」と、松ヤニを使えばスピンレートを上げることができるとツイート。

アストロズのランス・マッカラーズJr.からは「嫉妬はかっこ悪いよ。君は素晴らしいボールを投げるし懸命に取り組んできたんだから、こんなことをする必要はない」と諫められました。

バウアーは「嫉妬ではないよ。約束する。アストロズがやっていることはリスペクトしている。不満なのは、MLBが恣意的にルールを強要する偽善に対してだ」と返事。

ツイッター上ではなにかとお騒がせのアレックス・ブレグマンは、バウアーのことをタイラーとわざと名前を間違えてからかうツイート。これに乗ったバウアーは、ツイッターの名前をTyler Bauerに変えていました(現在はTrevor Bauerに戻っています)。

コリン・マクヒューは「これが長く野球に携わっている人たちによる指導というものだ」と反論。


バウアーがMLBに対し偽善だと言っているのは、ドローンで小指を切った時に、小指の外側の縫合した箇所を補強する接着剤を使わせてもらえなかったことが原因のようです。バウアーは、2016年のALCS第3戦で、傷口からの出血がひどくなり1回途中で降板しました。

べたべたした物質でなく、ボールにつく可能性もない場所の接着剤を使わせない一方で、松ヤニなどの物質を使うことに目をつぶっているのはこれ以上ないほどの偽善だ、としています。

他にもバウアーは、「アストロズが不正をしているとは言っていない。自分の唯一の主張は、粘着性の物質を手に付ければ速球のスピンレートは上がるということだ」と言っています。たしかにアストロズが不正をしているとはっきりとは言っていませんが、上に挙げたツイートを見ると、間接的にアストロズの不正を告発していると取られても仕方ない気はします。

実際にアストロズが不正を行っているかについてですが、The Athleticのエノ・サリス氏の検証によると、それを示すデータは見つからないということです。

アストロズの投手の移籍前と後のスピンレートを比較すると、はっきりとした変化が見られたのはゲリット・コールだけだったとのこと。チャーリー・モートンもスピンレートが上昇していますが、フィリーズの時から上昇が始まっていました。

コールのスピンレート上昇についてサリス氏は、フォーシームのスピンレートが大幅に上昇しているというよりも、スピンレートの低いツーシームの投球数が少なくなっていて、フォーシームだと間違って分類されるツーシームの数が減ったことが、今年のフォーシームのスピンレートが高く出ている原因ではないかとしています。

これについては、アストロズ移籍後のコールの投球内容を分析した記事でも少し触れられていました。

関連記事もう1人のエース誕生!? コールの好投の要因は変化球の増加とフォーシームの質の改善

本来松ヤニなどの異物を使うことは認められていないにもかかわらず、テレビにはっきりと捉えられるなどしない限りは暗黙の了解でおとがめなしという現状に、バウアーが不満を持っているのは理解できます。

そもそもボールが滑るから松ヤニとか唾をつけたりしないといけないわけで、滑りにくい日本のボールを使ってくれれば解決するのにと思ってしまいます。

ボールが滑らなければ、ちょっとぐらいなら異物をつけても問題なしという暗黙の了解そのものが必要ないですし、毎日新品のボールを箱から出して泥でこねているのも時間と労力の無駄です。

試合中に投手が新しいボールをもらうたびに、いちいちグラブを外して唾をつけてボールをこねるのも時間の無駄です。その時間がなくなれば、マンフレッド・コミッショナーが躍起になっている試合時間・投球間隔の短縮にもつながるはずです。

ボールが滑りやすいから強く握らなければならず、腕への負担も大きくなり、トミー・ジョン手術が多い一因にもなっていると思います。

このようにメリットがたくさんあるはずので、なんとか日本のような滑らないボールに変更してくれないかなとずっと思っています。なかなかすぐにというわけにはいかないんでしょうが。

話はそれましたが、アストロズが不正をしているという証拠はないですし、そんなことを言いたくなるぐらいモートン、バーランダー、コールと昨年からのアストロズの投手補強が成功している証拠かなと感じました。