ダイヤモンドバックスが今季からボールを一定の気温・湿度で管理する部屋を導入するというニュースを、今年2月にお伝えしました。

参考Dバックスがボールの加湿部屋の導入を発表 チェイス・フィールドが投手有利の球場に?

アリゾナは空気が乾燥していてボールが他の球場よりも滑りやすいため、投手がボールを握りやすくする、というのが球団が説明する導入の理由でした。

ボールの感触が変わるだけでなく、ボールが水分を含むことで反発係数が低下し、重量が増加するため、打球速度が低下することになります。

2002年から同様の湿度調節室を利用しているロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドのデータから、ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドでも得点が入りにくい環境になることが予想されていました。

MLB公式サイトの記事で、シーズンが始まって1か月が経った現時点でのデータをもとに、昨年までからの変化が検証されています。

記事によると、今季チェイス・フィールドで行われた12試合のデータでは、昨年から打球速度が2.7マイル低下しているということです。また、1試合当たりの本塁打数は2.6本から1.9本へ約27%減少しています。

野球に関する研究で有名なイリノイ大学のアラン・ネイサン名誉教授(物理学)の推定によると、打球速度が2~4マイル低下し、本塁打が25~50%減少すると予想されていましたので、どちらもその範囲内に収まっています。

cut

シーズン最初の12試合のデータを過去2年と比べた表です。1試合当たりの平均得点数は、過去2年の12点台から今年は7.2点まで大幅に減少しています。プレーする選手の能力の差は考慮されていないとはいえ著しい変化です。

チェイス・フィールドだけでなく、他の球場でも同様に打球速度などが低下しているなら、ボールの加湿以外の原因が考えられますが、チェイス・フィールドでの変化は顕著だということです。

cut (1)

また、ダイヤモンドバックスの選手の4月のホームとロードの打球速度の差は次の通りです。

2017年
ホーム:89.5マイル
ロード:87.7マイル

2018年
ホーム:87.7マイル
ロード:88.2マイル

去年はホームの方が打球速度が速くなっていましたが、今年はロードの方が速くなっています。これもボールの加湿によって打球速度が出にくくなっていることを示すデータといえます。

ホームの方が打球速度が出にくいとなれば、2月の記事のタイトルにも書いた通り、チェイス・フィールドがこれまでの打者有利の環境から一気に投手有利の環境へと変わることになりそうです。

まだ最初の1か月のデータですので今後も推移を見守る必要がありますが、事前の予測と矛盾しないデータが出ていることから、今年のチェイス・フィールドでの試合では得点が入りにくくなっていると考えてほぼ間違いないでしょう。