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右脇腹を痛めて故障者リスト入りしていたマリナーズのベン・ギャメルが復帰し、アストロズ戦に先発出場しました。

今後は、基本的に右の先発投手に対してはギャメルがレギュラーとして起用されます。

ギャメルの復帰によって、現在のロースターは外野手が5人、リリーフ投手が8人の構成となりました。

ギャメルの代わりに3Aに降格したのが、昨日の試合に先発登板したアリエル・ミランダ。今季初めて先発5番手が必要となったところで、3Aからコールアップされていました。

本来のローテーション投手であるエラスモ・ラミレスが故障者リストから復帰することが決まっているため、その登板日までは外野手5人体制とリリーフ8人体制のどちらを維持するのかの決断を先送りした形です。

サービス監督はラミレスが日本時間23日のレンジャーズ戦に先発すると明言しており、その時にはラミレスの代わりにだれを25人枠から外すかの決断をしなければなりません。

マリナーズが取ることができる選択肢は3つです。

1.ヘレディアを3Aに降格させる
2.イチローをDFAする(40人枠から外す)
3.リリーフ投手を1人減らす

ここまでの成績は、ヘレディアが13試合、29打席で打率.250、出塁率.345、2本塁打に対し、イチローが11試合、33打席で打率.212、四球0、長打0です。

イチローが先発出場した試合でも終盤にヘレディアが守備固めとして起用されており、総合的にヘレディアがベターな選手だと認識されていることは間違いありません。

したがって、試合に勝つためのロースターを作るという意味ではヘレディアを3Aに降格させる可能性は低いはずです。もしそうなったらかなりの疑問の声が上がることになるでしょう。

一方、リリーフ投手から1人をマイナーに落とすという可能性はあり得そうです。

今季ここまでの試合では先発投手が早い回に降板することがほとんどなかったため、今のところブルペンに大きな負担がかかっているということはありません。したがって、今後数日で何事もなければ7人に減らしても当面はやっていけるかもしれません。

しかし、マリナーズがブルペン8人体制でやっていくというプランを立てたのは、それが勝つためにベストのロースター構成だと考えたからのはずです。

イチローを残すために7人に減らしたとしても、それは一時しのぎにすぎません。

先発投手が早い回にノックアウトされたり、故障で降板したり、長い延長戦の試合があれば、ブルペンを7人でやりくりするのも難しくなってきます。

また、一塁手のライオン・ヒーリーは足首を痛めて離脱していますが、もうすぐリハビリでマイナーの試合に出場し始めるようです。

もしヒーリーが復帰するまでに現在一塁で起用されているダニエル・ボーゲルバックが結果を残していれば、まただれをマイナーに落とすのかで悩まなければなりません。

ラミレス復帰の時点でイチローを残すという判断をしたとしても、それ以降も絶えずイチローを残すべきなのかという判断を迫られ続けることになります。

マリナーズがイチローと契約した時に「イチローのマリナーズ復帰は吉と出るか凶と出るか」という記事を書きました。

その中で、イチローはマリナーズにとって特別な存在だからこそ、本来のメンバーがそろったときにやっかいな問題を引き起こす可能性がある、ジレンマを抱えることになる、と書きました。今まさにその状況を迎えています。

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そんな中、ディポトGMが「710 ESPN Seattle」のラジオ番組に出演し、イチローの処遇について話しました

現在5人体制となっている外野手陣について「ゆくゆくは外野手を5人抱えるという贅沢はできなくなる。そして、その時にはピースがどのようにフィットするかを解決しなければならない。しかし今はその時ではない」と話しました。

ディポトGMの頭の中で、今ではない”その時”が数日後だと考えているのか、もっと先のことだと考えているのかは分かりません。しかし、いつかはヘレディアを取るのか、イチローを取るのかの決断を下さなければならない時が来るということです。

フィールド上では結果が出ていないイチローですが、ディポトGMは取り組む姿勢や他の選手に与えるポジティブな影響を高く評価しているようです。

「この世界では、人間に投資し、リーダーシップに投資する。イチローは本当にそれをもたらしてくれていると思う。彼は表には出ないところで、クラブハウスの良い環境を作り、プレーする選手たちが日々ポジティブに取り組めるようにたくさんの手助けをしてくれている」と話しています。

また、華々しい活躍をしたマリナーズに戻ってきて、以前いた時とは違う補助的な役割を務めることの難しさにも触れ、その点においてもしっかり適応しているイチローに感心しているということです。

イチローのクラブハウスにおけるポジティブな影響と、25人という限られた枠の中で勝つためにベストの戦力を整えようとすれば、おそらくそこにイチローは入らないという現実の板挟み。

「これまでの実績だけではなく、現在の振る舞いによっても、イチローは敬意を持って扱われるに値する」と話すディポトGMは、どのような判断を下すのでしょうか。まずはラミレスが故障者リストから復帰する4日後が最初の決断の日です。

Photo: Elsie Lin