アストロズのゲリット・コールは、今季3試合目の登板となるレンジャーズ戦で自己最多となる14個の三振を奪いました。

オフにパイレーツからアストロズに移籍し、今季開幕からの3試合はいずれも11奪三振以上で防御率1.29と最高のスタートを切っています。

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今年1月には、「コールはアストロズへの移籍でポテンシャルを開花させるか 速球・変化球の割合がポイント」という記事を投稿しました。

簡単に内容をまとめると、コールは球速がトップクラスにもかかわらず速球を打ち込まれているので、より良い結果を生み出している変化球を増やすことでさらなる飛躍を遂げることができるはずだ、というものでした。

そして、そこで紹介したFangraphsの記事を書いたトラビス・ソーチック氏が、今季2度目の登板の後に「The Astros May Have Another Ace」でコールの投球内容の変化を分析していましたので、今回はその内容を紹介します。

まず、コールはツーシームを大きく減らして変化球を増やしていました。

記事では2試合目までのデータで説明されているので、ここでは3試合目も反映されたデータで見ます。

FireShot Capture 016 - Gerrit Cole » Statistics » Pitc
引用元:Fangraphs

ツーシームが昨年の18.1%から今年は4.4%へと減少し、ほとんど投げなくなっています。そして、スライダー、カーブが増加し、合わせて40%近くに達しています。

コールがキャリアハイの成績を残したのは2015年で、サイ・ヤング賞投票で5位に入りました。

その2015年は左打者に対しwOBA.268、右打者に対しxOBA.283と左打者をしっかり抑えていました。しかし、昨年は左打者に.335、右打者に.297と左打者に対して成績が悪くなっていました。

表にある通り、2015年はスライダーの割合が最も高くなっており、スライダーを低めに制球良く投げることで左打者から空振りを奪って抑えていたということです。

そして、今年も左打者のバックフットにスライダーやカーブを安定して投げられていると指摘されています。

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さて、以前の分析の通り変化球を増やしたコールですが、速球はどうなっているのでしょうか。

実は、上に書いたようにツーシームはほとんど投げなくなっているのですが、昨年は打たれていたフォーシームで非常に素晴らしい結果を残しているという興味深い結果となっています。

FireShot Capture 017 - The Astros May Have Another Ace
引用元:Fangraphs

これは2試合目までのデータですが、打者がスイングした時に何%空振りを奪っているかを示すWhiff per Swing%を見ると、昨年までよりはるかに高い割合で空振りを奪っていることが分かります。さすがにこの空振り率は次第に落ち着いていくと思いますが、ボールの動きやスピンレートにも変化が見られます。

H-Moveは水平方向、V-Moveは垂直方向の動きです。H-Moveのマイナスが小さくなっているのは、シュート方向の動きが小さくなっていることを示しています。V-Moveが大きくなっているのは、より浮き上がるような動きになっているということです。

スピンレートに関しては、昨年まではメジャー平均をやや下回る数字でした。しかし、今年は明らかにスピンレートが上昇しています。

大谷翔平のフォーシームもスピンレートはメジャー平均とほぼ同じぐらいで、「動きがない」フォーシームだと表現されますが、これは打者にとって見慣れた軌道になりがちだということを表していると考えられます。

コールのフォーシームも、スピンレートがメジャー平均に近いということがトップクラスの球速を誇るにもかかわらず打ち込まれていた原因の1つだろうとソーチック氏は指摘しています。

今年はツーシームをほとんど投げなくなっており、昨年までのスピンレートのデータにはツーシームも一部混じっていた可能性があるため、必ずしもフォーシームのスピンレートが大きく上昇したとは結論付けられないということですが、ボールの動きの変化もあわせて考えるとフォーシームの質が変化したのは間違いでしょう。

次の図は、コースごとのフォーシームに対するコンタクト率を表したものです。上が2017年、下が2018年。2018年は高めのボールに打者のバットが空を切る割合が高くなっています。

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33-PM
引用元:Fangraphs

そして、フォーシームを投げる場所にも変化が見られます。

次の図は、左打者に対するフォーシームのロケーションです。今年は左打者のインコースに多く投げていることが分かります。

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00-PM
引用元:Fangraphs

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変化球の投球割合が増えたのは以前の分析の通りで、驚くことではありませんでした。

一方で、フォーシームの質が変わっていたのは意外でした。どのようにして空振りのとれるフォーシームに変化させたのかは謎です。

しかし、事実として分かっているのは、今年最初の3試合のコールはパイレーツ時代より上のレベルの投球をしているということ。

パイレーツ時代には1シーズンに2桁奪三振を3試合以上記録したことはありませんでしたが、アストロズに加入して最初の3試合すべてで2桁奪三振を記録してしまいました。

ソーチック氏は記事の最後をこう締めくくっています。

「金持ちがより金持ちになったのかもしれない。もしコールが1つ上のレベルに達したのであれば、アストロズのローテーションはメジャーでベストかもしれない。アストロズはすべてにおいてメジャーでベストかもしれない」

コールの進化によってアストロズがもう1人のエースを手に入れたとしたら、もしかしたら太刀打ちできるチームはないかもしれません。