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メジャーで9年間プレーし、古巣の巨人に復帰した上原浩治。2013年から4年間プレーしたレッドソックスでの活躍は、メジャーのキャリアにおけるハイライトです。

その活躍は現地ファンにとっても特別なものだったようで、「SB Nation」内のレッドソックスのブログ「Over the Monster」には「In Appreciation of Koji Uehara(コージ・ウエハラに感謝を込めて)」という記事が掲載されています。

マット・コリンズという人が書いたもので、上原への思いがあふれる文章になっています。

ちょっと長くなりますが、一部を紹介します。

「レッドソックスの元クローザーがチームへどのように貢献したかを正しく認識するベストの方法は、彼が残した数字を見ることだ。…

ウエハラはボストンで4年間を過ごした。最後の年はやや成績を落としたが、彼のボストンでの成績は、科学的に言って頭がおかしいレベルだった。230試合に登板し、140試合を締めた。防御率は2.19(ERA+192!)で、奪三振率11.6、与四球率1.5だった(※ERA+とはリーグ平均とパークファクターを考慮して、その投手の防御率が平均と比べてどれだけ優れているかを示す指標。平均が100)。

彼のコントロールは本当に畏敬の念を起こさせるもので、それゆえ一般的に支配的なリリーフ投手が持っているパワーのあるボールがなくても成功を収めることができたのだ。

彼はずっと素晴らしい投球をしていたが、特に2013年シーズンは”イタリア人シェフが指先にキスをするような”傑作だった。

それはボストンでの最初の年で、73試合に登板し74回1/3を投げた。シーズン当初はクローザーではなかったが、彼がクローザーであるべきだと認識するまでに時間はかからなかった。最終的に、防御率は1.09(ERA+379!!!)で、聞いて驚くな…101奪三振、9四球(!)だった。おっと、気絶してしまったよ。

ポストシーズンに入ると、ますますばかげた事態になった。10月の彼はまさに怪物で、タイガースとのALCS(ア・リーグ優勝決定シリーズ)ではMVPさえ獲得した。ポストシーズンを通して13試合、13回2/3を投げ、16奪三振、無四球、わずか1失点だった。

マリアノ・リベラとだれかを比べることはしたくないが、彼はまさにリベラ的なポストシーズンの活躍だった。彼がマウンドに上がった時点で、試合は終わったも同然だった。

2013年のポストシーズンのことを考えると、コージに関するお気に入りの事実、おそらく一番のお気に入りのスタッツのことを思い出すんだ。

2013年8月3日にウエハラは1人の打者に対し四球を出した。そして、次のシーズンの4月19日まで、ポストシーズンも含めて1人の打者も歩かせることはなかったんだ。その間、彼は55人の打者を三振に切って取った。よく考えてみてくれよ。考えたかい?それは本当に途方もないことで、彼と同じレベルで四球を防ぎながら三振を積み上げる投手がまた現れるのかどうか、正直言って定かではないね」

このように、上原がレッドソックス時代に残した成績を賞賛しています。

また、数字だけではなく、ベンチで激しくハイタッチするシーンや、ビッグ・パピことデビッド・オルティーズに担ぎ上げられるおなじみのシーンも取り上げられていました。

そして、記事の最後はこう締められています。

「コージは正真正銘ボストンの街のスポーツの象徴であり、彼を見ることは独特の楽しい経験だった。これまでの人生で、どんなスポーツにおいても、それに匹敵する経験というのはなかなかない。ボストンのファンはみんな、彼が日本に戻って成功するように応援していると思う。そしてもっと大事なことには、ボストンのファンはみんな、彼がボストンとフェンウェイパークにいつでも戻ってきてくれていいと思っていることを彼に分かっていてほしいと願っているはずだ」

もちろん、この記事はこの人が自分の思いを記したものですが、上原がボストンで残したインパクトを考えると、同じように上原のピッチングを楽しみ、その時の興奮とともに記憶しているボストンのファンは少なくないはずです。

上原本人が希望していた通りメジャーでのピッチングが続けられなかったことは残念です。しかし、記録にも記憶にも残る、素晴らしいメジャーリーガーとしてのキャリアだったのではないでしょうか。

Photo: Keith Allison