FireShot Capture 073 - Shohei Ohtani Stats, Fantasy _ (2)

Yahoo Sportsのジェフ・パッサンが、8人のスカウトに打者としての大谷翔平の評価を聞いた記事を書いています(「The verdict is in on Shohei Ohtani's bat and it's not good」)。

スカウトたちは打者・大谷の具体的な弱点に言及しつつ、現時点では厳しい評価を下しています。

この記事をベースボール・チャンネルが簡潔にまとめてくれていました(大谷の打撃レベルはメジャー級にあらず? 米スカウト断言「彼は高校生みたいなもの」)。

記事から引用します。

 パッサン記者が8人のメジャーリーグのスカウトに大谷についての評価を聞くと、彼らの答えは似通っていたという。多くのスカウトが大谷のパワーとスピードは認めているが、現段階ではメジャーリーガーの内角の直球に対応できない。メジャー級の打者になるためには少なくとも500打席はマイナーリーグで経験を積むべきだという見方をしているという。
 
 また、これらの評価は現時点でのオープン戦での打撃成績(11打数1安打)に基づいているわけではないとも記事では明確に述べられている。
 
 例えば、あるスカウトは日本とMLBの投手の質の違いについて言及。6日に行われたダイヤモンドバックスとのオープン戦では大谷はゴッドリーのフロントドアのシンカーで追い込まれて、カーブに空振り三振。このような投球の違いが問題になるだろうと指摘している。一方で、別のスカウトは大谷の打撃フォームについて注目。内角の直球が弱点だと言及している。
 
 また、メジャーリーガーの投球に関しては直球やシンカーだけではなく、日本球界ではあまり見られない回転数の多いカーブボールも大谷は苦しむことになりそうだと同じスカウトは指摘。実際にオープン戦では前述したゴッドリーや、別の試合でもカーショウのカーブボールに対応できなかった姿を見ることができる。

「内角の直球が弱点」という部分を補足すると、大谷は土台のバランスを欠いていて、スイングの際に腰が早く開いてしまう。内角の速球を打つために早く始動しなければならず、その他のボールに対応できなくなっている、と書かれています。

また、トップハンド(左手)が強いスイングをしているため、こねるようなゴロが多くなるだろうということです。

カーブに苦しむという点について、あるスカウトは「彼はいいカーブを見たことがないから、高校生の打者のようなものだ。彼は速球とチェンジアップは見たことがある。高校生の打者にいきなりメジャーでプレーしろというのかい?」と話しています。

また、パッサンはこう述べています。

「エンゼルスは今季、勝ちを意識しているため、大谷に関して板挟みのような状態に置かれる可能性がある。彼の一番の才能、その右腕が、本物の二刀流選手になりたいという彼の望みを実現する妨げになるかもしれない。あるスカウトは『メジャーリーグは自分の仕事について学ぶ場所ではないよ。それはできない』と言っていた」

つまり、選手として技術を身につける場所はマイナーであって、メジャーでは試合に勝つことが最優先。投手としての大谷がメジャーでの勝利のために必要だから、打者としての大谷がマイナーで技術を身につける妨げになる、ということですね。

大谷はメジャー挑戦を表明する記者会見で、「自分はまだまだ不完全な選手」「自分を磨ける環境に身を置きたい」と話していました。

しかし、大谷のような才能のある選手を安く獲得できたことでエンゼルスはポストシーズンに近づき、大谷が自分を磨くのが難しい環境になってしまったのは皮肉なことです。

エンゼルスは、同じ地区にアストロズがいて地区優勝は難しいですが、ワイルドカードでのポストシーズン進出は有力視されています。パッサンも書いていますが、大谷が打撃で結果を出せなかった場合にエンゼルスがどこまで我慢できるのか、というのは難しいところです。

以前ツイッターでちょっとつぶやいたんですが、ナ・リーグなら先発する日は自動的に2回か3回は打席に立つことになりますし、代打での起用もあるでしょう。しかし、ア・リーグではDHで起用されなければほとんど打席に立つことができなくなってしまいます。

スカウトが言うようにメジャーの舞台は勉強する場ではないかもしれませんが、打席に立っていれば少しずつ適応できる可能性もあります。一時的にでも投手に専念させるという方針をエンゼルスが取れば、それもできなくなってしまいます。

それから、パッサンが言っていることとは逆になりますが、このような大谷の能力を疑問視する記事が出てくると、エンゼルスは大谷をマイナーに落としやすくなるという側面もあるかもしれません。

マイナーに一度も落とさずメジャーでプレーさせ続ければ6年でFAになりますが、2週間ほどマイナーに落とせば、メジャー登録日数が丸6年に足りなくなり、もう一年保有できることになります。カブスのクリス・ブライアントがメジャデビューするときなどにも問題になった話です。

大谷についても、何の理由もなくマイナーで落とせば、保有権を1年伸ばすための策だと批判を浴びることは必至ですが、「大谷はまだ欠点が多い選手」という空気が定着すれば、マイナーに落としても文句は言われにくくなるかもしれません。

いろいろ書きましたが、二刀流はメジャーでも初めてのことですから何がどうなるか分かりません。うまくいくよう願いながら見守りたいと思います。