MLB選手会の専務理事トニー・クラークが、徹底的な再建に舵を切りまったく勝つ意志がない球団を批判する声明を発表しました。

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声明は「収益や球団の価値が過去最高を記録している中で、これまでにない数のフリーエージェントの選手が未契約のままだ」「かなりの球団が最下位に向けた争いをしている。この行いは、球団とファンの間の信頼に対する根本的な裏切りであって、ベースボールの高潔性そのものを脅かすものだ」という内容です。

つまり、勝つための戦力を整えず、試合に負け続けることで来年のドラフトで上位の指名権を獲得しようとする”タンキング”を行うチームを批判するもの。

選手たちの中にも、フィールド上にベストの選手をそろえるべきだという趣旨のコメントをする人もいました。

これを受け、MLBも声明を発表。


「ベースボールにおいて、各球団は勝ちを目指して循環的で数年単位の戦略を取ってきたというのがずっと変わらない事実だ」
「この時期に多くのフリーエージェントの選手が未契約なのは珍しいことではない。例年と違うのは、かなりの契約、中には1億ドルを超える契約のオファーを受けているにもかかわらず未契約のトップクラスの選手がいることだ。ポジションごとの需要、最先端の分析、新しい基本合意の影響などによって常に変化しているフリーエージェントの市場において、クライアントの価値を見極めるのが代理人の責任だ。代理人が市場を正確に評価できないことの責任を球団に押し付けるのは、不公平で不当で扇動的だ」

多くの選手が契約できていないのは市場を見極められなかった代理人が悪い、と突っぱねた形です。

ここで有名代理人のスコット・ボラスが参戦してきます。


ボラスは、MLBが発表した声明の「1億ドルを超えるオファーを受けている選手もいる」という部分を問題視しています。

つまり、労使協定によって各球団はそのような情報を共有してはいけないと義務付けられているにもかかわらず、MLBがどうしてそんなことを知っているんだ?というわけです。

さらに、球団へのオファーの内容を明かして、選手が高額の契約を要求しすぎていると公式の声明で発表することは、1980年代に行われた悪名高い”インフォメーション・バンク"の不正と何が違うのか?としています。

”インフォメーション・バンク"というのは、オーナー側が交渉において選手側よりも優位に立つため、選手との交渉内容をオーナー間で確認できるように作られたシステムのことです。1980年代にはオーナー陣が共謀して選手へのオファーを引き下げるという不正が行われ、後に損害を受けた選手に補償を支払うことになるという出来事がありました。

ボラスの発言に対し、MLBの法務担当責任者ダン・ハレムが返答。

「もしボラス氏が扇動的で根拠のない声明を発表するのと同じぐらい選手の契約に時間を割いていたら、たぶんこのオフシーズンの出来事も変わっていただろう」

これについて、ボラスのコメントを支持する声がありました。

「ボラスは正しい。コミッショナー事務局はどのようなオファーがなされたか知るべきではないし、オファーについてコメントするべきでもない」

労使協定でも、関係者がオファーの内容についてメディアに明かしてはいけないと取り決められているということです。

選手会の声明から始まった一連のバトルですが、”タンキング”を防ぐシステムがない以上、基本的に状況は変わらないでしょう。

しかし、MLB側の声明も感情的になってきていますし、ボラスに指摘されるようなぼろが出てしまっています。また、法務担当責任者という立場でボラスを揶揄するようなコメントをしてしまうハレムも、不適切というか馬鹿だなと思います。

ますます醜い争いになってきました。