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毎年ウィンターミーティングの最終日にはルール5ドラフトが行われます。

ルール5ドラフトでは他球団の40人枠に登録されていない選手を指名し獲得することができます。ただし、契約した年齢が18歳以下の選手は5年以上、19歳以上の場合は4年以上経過していることが条件です。

ルール5ドラフトのルール

・指名した球団は元の球団に10万ドルを支払う
・翌シーズンはその選手を25人枠に登録しておかなければならない(つまりマイナーへの降格は不可)
・故障者リスト入りは可能。ただし、90日以上アクティブロースターに登録されていない場合は、次のシーズンも合計90日が経過するまで25人枠に登録しておかなければならない
・返還したい場合はウェーバーにかける。ウェーバーをクリアしたら、元の球団は5万ドルを払って選手を再獲得するかを判断する。元の球団が再獲得しないと判断した場合、指名した球団は選手をマイナーに降格させることができる
・指名した選手を別の球団へトレードすることは可能だが、トレード先でも同じルールが適用される


細かく説明しましたが、一番大事な部分は、ルール5ドラフトで指名した選手は1シーズンずっと25人枠に登録しておかなければいけない、というところです。40人枠にも入っていなかった選手をシーズン通して25人枠に登録しておかなければならないので、かなり高いハードルです。

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それでは、2017年ルール5ドラフトの結果です。

1巡目
1.タイガース:ビクター・レイエス、OF (ダイヤモンドバックス)
2.ジャイアンツ:フリアン・フェルナンデス (RHP、ロッキーズ)
3.フィリーズ:ニック・バーディ (RHP、ツインズ)
4.ホワイトソックス:カルロス・トーチ (OF、フィリーズ)
5.レッズ:ブラッド・ケラー (RHP、ダイヤモンドバックス)
6.メッツ:バーチ・スミス (RHP、レイズ)
7.ブレーブス:アニエロ・ゴメス (RHP、ヤンキース)
8.パイレーツ:ジョーダン・ミルブラス (RHP、インディアンス)
9.オリオールズ:ネスター・コルテス (LHP、ヤンキース)
10.マーリンズ:エリエサー・ヘルナンデス (RHP、アストロズ)
11.マリナーズ:マイク・フォード(1B、ヤンキース)
12.エンゼルス:ルーク・バード (RHP、ツインズ)
13.ツインズ:タイラー・キンリー (RHP、マーリンズ)
14.ダイヤモンドバックス:アルバート・スアレス (RHP、ジャイアンツ)
15.アストロズ:アンソニー・ゴース (LHP、レンジャーズ)
2巡目
16.オリオールズ:ペドロ・アラウホ (RHP、カブス)
17.マーリンズ:ブレット・グレイブス (RHP、アスレチックス)
3巡目
18.オリオールズ:ホセ・メサ (RHP、ヤンキース)


そしてドラフト直後にトレードが行われました。

ロイヤルズが、レッズが指名したブラッド・ケラーとメッツが指名したバーチ・スミスを獲得。レッズとメッツはそれぞれ後日指名選手or金銭を獲得します。

レンジャーズは、ホワイトソックスが指名したカルロス・トーチを獲得。ホワイトソックスは金銭を獲得。

パイレーツは、フィリーズが指名したニック・バーディを獲得。フィリーズはインターナショナル・ボーナス・プールの50万ドルを獲得。

すべてトレード先の球団でルール5ドラフトの選手としての扱いとなり、25人枠に登録しておかなければなりません。

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まず指名された選手で驚いたのがアンソニー・ゴース。もともとは外野手としてブルージェイズ、タイガースでプレーしていましたが、今年から投手に転向。100マイル近い速球を投げ、先日レンジャーズとマイナー契約を結んだばかりでした。アストロズも投手としての素材を評価しているようです。さすがに1年間メジャーに置いておくのは厳しい気がしますがどうなるでしょうか。

あとはヤンキースから4人指名されているのが目につきます。マイナーの層が厚いので他球団が欲しがる選手が多いということですね。

他の注目は、パイレーツがフィリーズ経由で指名した形のニック・バーディとロイヤルズがメッツ経由で指名した形のバーチ・スミスあたりでしょうか。

バーディは今年5月にトミー・ジョン手術を受けており、少なくとも来年後半まではメジャーで投げることができません。上で説明した通り、DL入り期間が長く、90日間アクティブロースターに登録できなかった場合は、再来年も開幕から25人枠に登録しておかなければいけません。今季はトミー・ジョン手術を受けるまでは2Aで14試合、17イニングを投げ、防御率0.53、WHIP0.77、奪三振率10.6、与四球率2.1の成績でした。

スミスは2013年にメジャーを経験。2015年、2016年はトミー・ジョン手術で全休。今季は主にA+、3Aで13試合(12先発)、防御率2.72、WHIP1.12、奪三振率8.9、与四球率3.8の成績でした。

今回指名された選手の中からメジャーで活躍する選手が現れるか注目です。

Photo by Tom Hagerty