FireShot Capture 009 - What is a Expected W

MLB公式サイトの記事で、xwOBAを使って今季もっと良い成績を残せたはずの投手10人をピックアップしています(「10 pitchers who deserved better results in '17」)。

xwOBAとは、三振・四球の数に加え、スタットキャストが計測した打球の初速と角度をもとにはじき出されたwOBAの予測値のことです。wOBAとは打者の打撃力を測る指標で、出塁率と同じ感覚で見られるように調整してあります(.320ぐらいが平均)。

xwOBAにより、野手の守備や球場の特性、運といった投手にはコントロールできない要素を排除し、打たれた打球の質から投手の能力を測ることができます。今季先発投手のxwOBA上位4人はシャーザー、セール、クルーバー、カーショーとなっており、信頼できるデータであると判断できます(参考)。

それでは今年、実際の能力以下の成績になってしまったと考えられる投手10人です。

<先発投手>

前田健太、防御率4.22、xwOBA.281
xwOBAが近い選手:ザック・グレインキー(防御率3.20)、ジミー・ネルソン(3.49)


2016年のxwOBA.289に続き今年も良い数値を記録しましたが、防御率は.3.48から4.22に悪化してしまいました。

投球内容はほぼ変わりませんが、被本塁打は増えています。9イニング当たり1.02本から1.47本に悪化しました。これはフライの割合が35.7%から40.1%に上昇したことに加え、HR/FB(フライのうち本塁打になった割合)も11.8%から15.0%に大きく上昇していることが原因です。

HR/FBは通常9~10%に収まるとされていますが、2015年オールスター以降の”飛ぶボール”の影響もあってかリーグ全体のHR/FBも今年は13.7%に上昇しています。

それでも前田はリーグ全体に比べて高く、xwOBAが低いということは強い打球が少ないということですから、来年は今年よりは被本塁打が減るかもしれません。


クリス・アーチャー(レイズ)、防御率4.07、xwOBA.292
xwOBAが近い選手:ジオ・ゴンザレス(防御率2.96)、アービン・サンタナ(3.28)

ジェフ・サマージャ(ジャイアンツ)、防御率4.42、xwOBA.294
xwOBAが近い選手:ロビー・レイ(2.89)、ジョン・グレイ(3.67)

マルコ・エストラーダ(ブルージェイズ)、防御率4.98、xwOBA.299
xwOBAが近い選手:カイル・ヘンドリックス(3.03)、マディソン・バムガーナー(3.32)

バック・ファーマー(タイガース)、防御率6.75、xwOBA.302
xwOBAが近い選手:ジェイク・アリエッタ(3.53)、ダニー・ダフィー(3.81)

ジャレル・コットン(アスレチックス)、防御率5.58、xwOBA.313
xwOBAが近い選手:マーカス・ストローマン(3.09)、タイワン・ウォーカー(3.49)


<リリーフ投手>

ケビン・シャッケルフォード(レッズ)、防御率4.70、xwOBA.259
xwOBAが近い選手:クリス・デベンスキー(2.68)、コディ・アレン(2.94)

マーク・メランソン(ジャイアンツ)、防御率4.50、xwOBA.288
xwOBAが近い選手:ウェイド・デービス(2.30)、ザック・ブリットン(2.89)

キャム・ベドローシアン(エンゼルス)、防御率4.43、xwOBA.290
xwOBAが近い選手:ウェイド・デービス(2.30)、ザック・ブリットン(2.89)

スコット・オバーグ(ロッキーズ)、防御率4.94、xwOBA.298
xwOBAが近い選手:ブランドン・キンツラー(3.03)、ブラッド・ブラック(3.18)


昨年のxwOBAによると、アンソニー・スウォーザック(2016年防御率5.52、2017年防御率2.33)、カービー・イエーツ(5.32、3.97)、シェーン・グリーン(5.82、2.66)、アーロン・ノラ(4.78、3.54)などが実際の能力以下の成績になってしまっていたようで、今年は成績を大きく改善しています。

この記事で紹介された選手たちの何人が来季成績を改善するか注目してみてください。