MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが、海外・国内アマチュア選手との契約におけるブレーブスの不正について声明を発表。これによりブレーブスには過去に例を見ない非常に厳しい制裁が科されることになりました。

・2016年以降に契約した海外アマチュア選手12人との契約無効。これには2016-17年の海外選手でNo.1の評価を受けブレーブスが425万ドルで契約したケビン・マイタンも含まれます。

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引用元:TheScore

・2019-20の1年間、海外選手との契約金を1万ドル以下に制限。2020-21の1年間、契約金総額を50%減額。(制裁が2019年からなのは、2018-19の期間はすでに契約金30万ドル以下の罰則が科されているため)

・不正に口頭契約を結んでいた現在14歳のロバート・プアソンとの契約禁止。プアソンは2019-20でトップクラスの評価を受けている選手。まだ正式な契約には至っていなかった韓国人選手Ji-Hwan Baeとの契約も無効。

・2018年国内ドラフト3巡目指名権を剥奪。

・ジョン・コッポレラ元GMを永久追放。ゴードン・ブレイクリー元GM特別補佐は1年間の謹慎。不正に関わった他の職員も今後処分される予定。

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今回の不正はいわゆる”パッケージ契約”と呼ばれるものです。

2015-16の期間中、ブレーブスは契約金の制限対象となる海外アマチュア選手5人と、実際に合意した金額よりも少ない契約金で表向きの契約を交わしました。同時に、同じ代理人が担当している契約金の制限対象とならない選手(海外プロリーグで6年以上プレーする25歳以上の選手)と実際の評価以上の高額で契約を結び、この水増しした契約金を代理人を通して契約金の制限対象となる選手に与えることで制限を回避していました。

この不正がなければ、契約金の制限を超過したブレーブスは翌2年間の契約金を30万ドル以下に制限する罰則が科されることになり、2016-17の期間中、マイタンをはじめとした高評価の選手たちとは契約することができないはずでした。また、2016-17期間中も同様の”パッケージ契約”を行っており、全部で12人の選手との契約が無効という処分になっています。

国内ドラフトの指名権剥奪は、2017年のドラフト指名選手に許されていない利益を提供する代わりに少ない契約金で契約するよう持ち掛けたことが理由です。過去の報道では2巡目指名のドリュー・ウォーターズに対し車を提供しようとしたとされています。ただし、実際に車の提供はありませんでした。

契約無効となった選手たちは、受け取った契約金をそのまま手にすることができます。今後再びFAとなり、契約金の制限の対象選手として他の球団と契約することになります。球団は現在残っている2017-18の契約金を使うか、2018-19の期間に割り当てられる契約金を使用することも可能だということです。

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予想されていた通り、非常に厳しい制裁となりました。

不正に契約した選手との契約無効は当然の措置でしょう。契約無効の制裁を受けてもブレーブスのマイナー組織がトップクラスの層の厚さだということには変わりありませんが、少ない年俸総額でやりくりしなければならないブレーブスにとって、有望な海外の若手選手と契約できなくなる今回の措置は長期的にはかなりの痛手です。

他球団も全くクリーンだとは言えないはずですが、コッポレラは飛び抜けて悪質ということで今回の制裁に至ったのでしょう。永久追放という前代未聞の処分を下したことで、他球団に対しても大きな抑止力となりそうです。