現地27日、ミネソタ・ツインズはワイルドカード2位が確定し、2010年以来となるポストシーズン進出が決定しました。昨年メジャーワーストの103敗を喫し、フロントを刷新して迎えた今季、いきなり大きな成果を上げることができました。

その大きな原動力となったのは打線です。

トレードデッドライン直前に負けが込んだツインズは、トレードで獲得したハイメ・ガルシアを一週間足らずで再放出するなど、7月終了時点で50勝53敗とポストシーズン進出は難しい情勢でした。

しかし、そこから打線の調子が上向き、8月以降の成績を見ると、得点331、本塁打90、長打率.489、OPS.834はすべてメジャートップ、打率.276、盗塁38もメジャー2位となっています。7月までの得点数がメジャー20位だったのとは対照的です。

やはり最も注目を集めるのは、攻守に印象的な活躍を見せているバイロン・バクストンですが、後半に打撃成績(特に長打力)が増したのはバクストンだけではありません。

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これはISO(長打率-打率、打者の純粋な長打力を示す)のオールスター以前と以降を比較した表です。Differenceの欄を見れば、大半の選手が長打力を増していることが分かります。

ISOが.300を超えるのはスタントンやジャッジなどごく一部の選手だけで、2割台後半ならトップクラスの数値です。後半は、複数の選手が高い長打力を発揮していることが見て取れます。

長打力が減少したクリス・ジメネスは控えの捕手ですし、サノーはもともとの長打力が抜群ですし、現在故障で1か月以上離脱中です。

後半に長打力が向上したのはわかりましたが、ではツインズ打線の何が変わったのか。まずは打球の質を見てみます。

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実は、スタットキャストで計測された打球の質はほとんど変わっていません。打球の初速、角度、飛距離は同じような数値で、その結果xwOBA(打球の初速、角度をもとにはじき出したwOBAの予測値)もほぼ同じです。例えば、”フライボール・レボリューション”の流れに乗って長打が増えた、というわけではないということです。

では何が良くなったのかを説明するのは、次の表です。

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オールスター以前、以降の全打球のうち、ライナーの成績の比較です。後半はライナーの打率や長打率が上がり、wOBAも.652から.742に大幅に上昇しています。今季のメジャー全体のライナーのwOBAは.674なので、前半はやや不運でしたが、後半は予想される成績よりもはるかにいい結果が出ていることを示しています。

つまり、一言でいえば”運が良かった”ということです。今季はすでにワイルドカード2位を確定させましたが、来季も同じようなメジャートップクラスの打撃は期待できないと考えられます。

ただし、バクストンやエディ・ロザリオのように本格的なブレイクを思わせる選手もいますので、前半と同じレベルの打撃力に戻るとは限りません。

幸い、今季は運も味方につけてワイルドカード・ゲームに進むことができましたので、このチャンスを活かして一つでも上のステージを目指したいところです。


引用はすべてFangraphs「The Twins Are Slugging Their Way to October」から。