昨年は22試合に登板(11先発)で防御率5.83、特に先発としては防御率8.50で散々な結果だったルイス・セベリーノ。

今年は30試合に先発し、13勝6敗、防御率3.03、WHIP1.05、奪三振率10.6、与四球率2.4と、ヤンキースのエースと呼ぶにふさわしい成績を残しています。

先日Fangraphsの「Luis Severino Is the AL’s Best Other Pitcher」という記事で、この飛躍のカギはチェンジアップにあったと分析されていましたので、簡単に内容を紹介します。画像、動画はすべて引用です。

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・昨年も今年も、メジャーでもトップクラスのフォーシームと決め球になるキレのいいスライダーを投げていることには変わりない。何が変わったかと言えば、チェンジアップの安定感が増しそれが他の球種にも良い影響を与えている。

・FangraphsのPitch Valuesという球種ごとの評価では、セベリーノのチェンジアップはメジャーで12番目という位置づけ。ストラスバーグのチェンジアップと同じぐらいという評価。

・具体的な変化の1つ目は球速。昨年までよりフォーシームとの球速差が大きくなり、今年は平均で10.3マイル(約16.6キロ)の球速差がある。
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・2つ目は、変化の量。縦の変化も横の変化も小さくなり、より速球に近い軌道になった。

・3つ目は、チェンジアップを投げるスポットが変化した。
severino-changeups
キャッチャーからの視点。違いは一目瞭然で、ストライクゾーンに積極的に投げるようになった。

・今年は決め球として使うだけでなく、早いカウントからでも使っている。昨年は2ストライクから投げた割合が31%だったのが、今年は21%に下がった。

実際の例。ペドロ・アルバレスに対して1ボール0ストライクから。


マニー・マチャドに対して、1ボール1ストライクから。



1ボール0ストライクからのK-BB%(三振率から四球率を引いたもの)を見ると、

2015年:2.1%
2016年:5.5%
2017年:17.9%

と大きく改善。チェンジアップを使うことによって、初球ボールから入っても四球を出さず三振を奪えている証拠。同じデータのメジャートップ5を見ると、

1.コーリー・クルーバー
2.クリス・セール
3.クレイトン・カーショー
4.セベリーノ
5.マックス・シャーザー

とそうそうたるメンバー。

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昨年まではほぼフォーシームとスライダー2球種の投手だったため、打者はどちらかに張ることができました。今年はチェンジアップが加わり、打者が球種をしぼることが難しくなりました。チェンジアップの改善によって、他の2球種にも良い影響を与えたと言えます。

非常にシンプルですが、ひとつの球種の改善によってセベリーノは能力を最大限に活かすことができるようになった、という内容でした。